政府と経団連の話し合いにより、残業時間の上限規制が
「繁忙期の月の残業上限は100時間未満とする」
と決まりましたね。
これって通常の月の残業時間が45時間ですから、かなりの改悪になると思うのですが…。
繁忙期だから通常の約2倍残業していいよ、
なんて過労死問題が発生している昨今で、
何を考えているんだろうと思ってしまいます。
残業が増えたって、サービス残業が減るとは限らないのですが。
サービス残業させている会社には2タイプあって、残業時間の制限があるからサービス残業させている所と、
残業代が払えないからサービス残業させている所とあって、前者にしか改善されませんよね。
中小企業は後者が多いと思うんですが…
これで何か良くなるんでしょうか?
ちょっとどんな風になってしまったのか、詳しく調べてみました。
残業時間の上限100時間の意味は?
そもそも「上限100時間」ってどういうこと?って思いますよね。
現行の36協定では、月45時間、年間360時間を基本にし、
特例として年間の残業時間の上限を720時間としていました。
その特例はそのままにして、プラス月の上限を決めてしまおう、という事になったみたいですね。
その上限が「100時間」ということなんです。
ただし1ヶ月のみ。
その上限を破ると、罰則がつくようになったのも特徴です。
「2~6カ月の平均で80時間を超えない」ことも加えられました。
でも、なんで100時間、という数字が出たんでしょうか?
過労死発症前の原因として、連続する2カ月の時間外労働の平均が80時間超であること、
1ヶ月100時間超の場合は発症との関連性が強いとされているからです。
限界まで時間を設定するということは、会社の利益は労働時間の長さで決まる、という考えがあるということですよね。
もっと時間ではなく、効率よく作業して生産性を高める努力を経営者としてやってほしいと思います。
電通の過労死事件をきっかけに、
36協定の存在が無制限残業を強いる原因に
なっているとの批判が高まったことは良い事です。
しかしそれが裏切られる形になったことは、大変残念なことですね。
残業時間の上限はいつから始まる?
2017年に労働基準法の改正案を提出し、早ければ2年後の2019年には施行されそうです。
これで見た目には罰則もついてきちんとなったようですが、実態はどうなっていくんでしょうか?
大企業ほど残業が多いようですが、本当にそうなんでしょうか?
中小企業は労働者の立場が大企業に比べて弱く、残業をしても払ってもらえないことが多々あります。
「払っている」残業は中小企業は少なくても、「実際に行われている」残業は、大企業と変わらないと思います。
大企業の方が残業代も支払えますから、そりゃ提出されている残業時間も多くなるでしょう。
これで問題となっているサービス残業が減るでしょうか?
私は何も解決しないと思っています。
そもそもサービス残業をさせる会社は、
「残業代を払いたくない」ことが要因です。
上限をつけたからといって、それが抑止力になるとは考えにくいです。
2019年、各会社がどういう対策を取るのか気になりますね。
残業時間の上限は管理職も対象?
管理職の人には朗報なのかな?と思います。
今回管理監督者の定義が明確化したおかげで、管理監督者なのか、
それ以外の管理職なのかがはっきり分かれ、
管理監督者に該当しない管理職の人は残業代を受け取れることになりました。
管理監督者として適用されるのは、
- 「出退勤の裁量があること」
- 「人事権を持つ立場にあること」
- 「残業代未払いに見合う給与待遇を受けていること」
です。
ほとんどの管理職の人が違うと思います。
残業代を支払いたくないばかりに管理職にされていた人たちにとって、とても良いことですよね。
管理職になって基本給が少し上がったとしても、実際に働いている時間を考えると、
どう考えても平社員の時より低い。
そういう管理職の人が多かったのではないでしょうか?
きちんと会社がこの改善を真摯に受け止めてくれれば、管理職の人も働きやすくなると思います。
しかし会社としてはデメリットしかない改善。
どうにかして払わないでいい方法を考えるかもしれませんね。
まとめ
この残業に関する改善で良かった事は、はっきりと線を明確にしたことだと思います。
36協定の穴とも言える時間の上限や、管理監督者の明確化を行うことで、
会社側が本当に真摯に改善していくかは会社の裁量によります。
ですから働く私たちは、安易に安心したりせず、2019年に施工されてから
自分の会社がどう対応していくのかをしっかり見極めていくことが大切だと思います。